vol.07 悪戦苦闘
vol.07悪戦苦闘
私のドッグフード作りの旅が始まってから、かれこれ5年。 全財産を投じ、借金までしまくり、路頭に迷いそうになってはじめて、自分のしていることの重大さに気づきました。
「資金がかかること」や「お金は使えば無くなること」は解っていたつもりでしたが、こんなにも年月がかかってしまうとは予想だにしていませんでした。 手元資金や銀行での借り入れ金も全て使い果たし、サラ金へ走ったり、友人・知人に借りたり出資してもらったりと危険極まりない橋を渡りながらの自転車操業の毎日。 惨めで、一歩間違えると奈落の底に落ちてしまいそうな気さえしました。
そんな状況ではありましたが、うれしいことや感動したことも数多くありました。 銀行から「これ以上銀行としては融資できない」と判断された時、当時担当していた銀行員の方から「僕の個人貯金を使って成功してください!」と、なんと300万円、通帳ごといただいた時には温かくこみ上げて来るものを感じました。 他にも「大木のその志に協力するよ!」と言って、寄付金という形で協力してくれる仲間や知人もいました。 だからこそ、挫けるわけにはいかない・・・。 彼らを裏切るわけにはいかない・・・。 私利私欲のためにやるのではない・・・。 どんな時でも、勇気をいただいたり、感動をいただいたり、心を温められる人々や、出来事に囲まれたことは、何物にも代えられない私の永遠の宝物です。
レシピの開発では、様々な機関を通して必要な栄養素の研究から確認検査、健康の為の栄養素の研究や確認検査などにあけくれ、宮崎大学の黒田教授と出会うまでに更に2年半の月日を費やしました。 黒田先生との出会いは、私の恩師であり、黒田先生と研究で苦楽を共にしている宮崎みどり製薬山口専務の紹介でした。 私の想いやこれまでの経過を話しただけでしたが、先生は深くご理解くださり、「ご自分の愛犬の為に 16年間研究を重ね温められていたレシピをいただく」というありがたいことになりました。 これまでの苦労からこの時初めて救われたように思います。
しかし次に待ち受けていた難関は、「黒田先生からいただいた手作りフードのレシピを、栄養成分等を壊さずにいかに流通できるようにするか」ということでした。