vol.26 インディアンの獣医師ワニータとの出会い
vol.26インディアンの獣医師ワニータとの出会い
「ハンナの友人、アメリカインディアンのワニータってどういう人だろう?」
好奇心と緊張感の入り混じった心持ちでデトロイトへ向かいました。なるほど車会社のひしめき合う町らしく、工場地帯や車の展示場を縫うようにハイウエーを走っていきました。
そのまま代わり映えのない工場地帯を見ながら車を走らせていると、郊外に差し掛かり周りの風景は一変しました。ハイウエーを降り町なかを走ると、タイムトリップでもして昔の西部開拓時代に来たかのように思わせる町並みの景色に変わりました。それは、まさに西部劇の映画の中を進んでいるような感じでした。 いよいよワニ-タの自宅付近に来ると、そこでもまた景色が一変し、別世界でカナダの森の中に来てしまったようでした。湖や大きな木や美しい下草が見事なコントラストを生み出す自然豊かで美しい町並みが続きました。その突然の全く異なる変化に戸惑いながらワニ-タの家へ到着しました。
「ここがハンナの友人である、インディアンのワニ-タの家か・・・」
日本人らしく緊張感と礼節を持ってなんて、普段思いもしない様なことを自分に言い聞かせ少し動揺していました。ハンナの所に最初に伺ったときも、叩いてはいけない門を叩いてしまったのではと思ってしまいましたが、このワニ-タの所も、明らかに混乱していました。
「こんにちは!」友人と共に玄関で訪問の挨拶をしながらびっくりすることがありました。なんと、その玄関の両脇には、人が抱きかかえられないほどの一本の大きなロウソクに無数の火が灯されていました。インテリアを通り越したその存在感に威圧され、混乱気味の自分にいっそう拍車がかかり、鳥肌が立っていました。
「よく来てくれたネ。ハンナから事情は全て聞いているから、さあ!入りなさい。」挨拶もそこそこに済ませ家の中へ入ると、ワニ-タは私をじっと見つめながら、「どうかしたの?ホームシック?それとも道中何かあったの?」となにやら私の心の中を読まれていそうな雰囲気でした。
すかさず、本音で「玄関のロウソクは何ですか?」と驚いた事をそのまま聞いてみると、「あっ、あれ、悪魔払いよ!邪気・邪霊は、セージやクリスタルやロウソクの炎をおもてに置いて払うのよ・・・」とっさには、解った様な解らない様な・・・。自分が邪気・邪霊なのか?! 度肝を抜かれる返答を平然と、ニコニコして応えるワニ-タを見ながらとても複雑な心境になりました。
しかし、こんなことで驚いていたのもつかの間。この後、連続的に非現実の世界が待っていたのでした。
- vol.25ハンナ・クローガーの指導
- TOP
- vol.27ワニータ家訪問で放心状態に陥る